IoTの効果を高める「エッジ」とは何か(EE Times Japan) [ニュース]

http://rdsig.yahoo.co.jp/rss/l/headlines/sci/it_eetimes/RV=1/RU=aHR0cDovL2hlYWRsaW5lcy55YWhvby5jby5qcC9obD9hPTIwMTYxMTE0LTAwMDAwMDcyLWl0X2VldGltZXMtc2Np

 産業向けIoTを実現しようとしたとき、センサーとクラウドの組み合わせだけでは十分な効果を発揮できない。なぜだろうか。

【FLOWSERVEスマートポンプの全体像】

 日本ナショナルインスツルメンツ(以下日本NI)が主催した計測・制御関連の技術イベント「NIDays 2016」(2016年10月26日、東京)の基調講演では、米国の大手ポンプメーカーFLOWSERVEの事例を取り上げ、理由を示した(図1)。

 産業用ポンプにIoTを適用した場合のメリットは、大幅なコスト削減だ。理由は3つある。

 第一に、常にポンプの状態を監視することで、異常を検知し、予期しないダウンタイムを避けることが可能になる。第二に、個々の部品ごと最適なメンテナンスのタイミングを把握できる。定期的な部品交換に頼っていると、まだ利用できる部品まで新品と換えなければならない。第三に長期的なデータを取得することで、なにが異常の前兆となるのか、パターンを発見し、分析モデルを作り上げることで、いつどの部品が故障するか予測ができるようになる。予防保全が可能になる。

 FLOWSERVEのように装置を提供するメーカーにとってのメリットは、メンテナンスに携わる人員を増やさず、より多くの顧客に幅広いサービスを提供できること。装置を使う製造業側は、きめ細かなサービスを受けて、ものづくりのパフォーマンスを高めることができる。どちら側にも利点のある話だ。

■エッジコンピューティングが有効に

 産業用機器にセンサーを取り付けることは珍しくない。そうした中、FLOWSERVEの事例で光る部分はどこか。

 物理的なモノに近い場所で情報を取得するだけでなく、ある程度の処理も進めるエッジコンピューティングを実現したことだ。センサーとクラウドの間に、エッジコンピューティングを加えた。

 FLOWSERVEのポンプシステムから得られる測定データは、毎秒2.5Mバイトに達する。このデータを直接クラウドに集めて分析しようとすると、問題が2つ生じる。第一に同社は世界60カ国弱にポンプシステムを納入しており、直接管理すべきシステムの数が膨大になること。ネットワークの帯域幅も必要になる。第二に遅延(レイテンシ)が起こり、ポンプの軽微な不調に即応できないことだ。

 この2点をセンサーとクラウドだけで解決することは難しい。そこで、ポンプに近い位置である程度の処理を施し、その場で制御をフィードバックする。処理後のデータは上位システムに渡して長期分析にかける(図2)。

■高い情報処理能力と組み合わせる

 エッジコンピューティングの具体的な仕組みを図3に示す。この事例ではエッジコンピューティングを2段階盛り込んだ。

 まず、NIのデータ収録・制御用プラットフォームCompactRIOがポンプに取り付けたセンサーからの情報を集め、図2に示したようにアナログデータを加工して絞り込む。

 そのすぐ隣には米Hewlett Packard Enterprise(HPE)が開発したIoT特化型サーバ「HPE Edgeline EL1000 Converged IoT System(HPE Edgeline)」を置いた。CompactRIOから受け取ったデジタルデータをHPE Edgelineが処理し、コンディションモニタリングと予知的メンテナンスを実行する。この組み合わせだけで、リアルタイム監視と障害予測が可能になる。

 さらに上位ではクラウドなどを通じて機械学習を実行し、長期間の運転データからより効率的なポンプシステムの運用方法を学び取る形だ。

■電話がIoTの始まりだった

 データ収録・制御用ソフトウェアや装置を長年展開してきたNIが、FLOWSERVEの事例に登場することは自然だろう。分かりにくいのがHPEの狙いだ。そもそもHPEはデータセンターなどに設置するIT向けのサーバを開発・販売・構築する企業ではなかったのか。

 ヒューレット・パッカード アジア・日本・オセアニア地域統括で、製造・流通・サービスインダストリ事業開発ディレクタを務める石井利幸氏によれば、このような見方は一面的なのだという(図4)。

 「当社はIoTが現れる以前から、大量の装置情報を集めて管理する技術を持っていた。電話だ。数百万台の電話に対し、呼応答の時間を記録することで、課金情報を得るシステムだ。欧米で産業制御システム(SCADA:Supervisory Control And Data Acquisition)のニーズが立ち上がってきたとき、当社がスケーラビリティを保証できたのはこのような蓄積があったからだ。製造業の大手顧客、例えば石油やガス分野の顧客に対して、掘削情報をリアルタイムで判断し、機械学習を重ねるニーズに応えてきた」(石井氏)。

 同社は、アクションが実行される場所、モノが存在する場所をエッジと定義し、製造フロアから発電所、医療施設に至るまでエッジが広がっていると捉えている。このようなエッジに向けて最適化された「コンバージドシステム」を配備して、価値を引き出すことを目指した。具体的には高い計算能力を備えたシステムの投入だ。

 IoTについて同社に優位性がある位置を検討した結果、エッジにおけるコンピューティングに盲点があることが分かったためだ。「市場リサーチの結果、エッジコンピューティングに大きな市場があると気が付いた。NIと提携を結んだ理由もこれだ」(石井氏)。

■HPEの考えるシフトレフト

 センサーからクラウドまでの間を流れるデータと制御、このうち、どこがエッジなのか。

 石井氏によれば、従来の考え方では「データ収集・集約」と「分析」、この間がエッジだった。図5ではステージ2とステージ3の間がエッジになる。

 FLOWSERVEの事例は「コンバージドIoTシステム」にステージ2と3の処理を任せることによって、エッジで実行できる処理内容を広げたというもの。このような変化を示したのが、図6だ。

 図5と比較して図6では計算処理がデータセンター・クラウドから現場側へと左側に移動している。このような変化を同社では「シフトレフト」と呼んでいる。

■Moonshotサーバ技術を応用

 FLOWSERVEの事例でこのような役割を果たしたのはHPE Edgelineだ。小型で高い処理性能を備え、広い温度範囲で動作する。HPE Edgelineの技術はどこから派生したのだろうか。

 同社のサーバー事業統括本部サーバー製品本部スケールアウト・サーバー製品部でカテゴリーマネージャーを務める阿部敬則氏によれば、IT固有の課題解決のために開発したサーバ技術を、IoTに転用した形になるのだという(図7)。

 「近年、GoogleやAmazonに代表されるようにサーバニーズが急速に高まってきた。データセンターに1Uサーバを増設することで対応してきたが、電力やスペースの問題が解決できなくなってきていた。例えば、3~4年前の段階で既にクラウドの使う電力量が国全体の消費電力量に匹敵する規模に達していた。英国全体の2倍に当たり、「国」に換算すると世界第5位に相当する。当社はこうした社会的な課題を解決するため、2013年に低電力で小型の『HP Moonshot System(Moonshotサーバ)』を市場投入した」(阿部氏)。

 「当社としてIoTにアプローチを試みた際、小型で低電力、さまざまな機能を備えたMoonshotを利用できると考えた。全てをクラウド、データセンターに送って処理するIoTに変わる形が実現できる。データの発生源に近いエッジで、できるだけリアルタイムに処理可能だ」(阿部氏)。

 MoonshotサーバをIoT向けに改良する以前にも参考となる事例があった。「今回のHPE Edgelineに近いような使い方がMoonshotサーバにもあった。例えばフォーミュラ・ワン世界選手権レース(F1)だ。センサーの塊であるF1カーからリアルタイムでデータを取得し、ピットに入ってきた車体に手を加える。これをデータセンター経由でやると間に合わない。このためにピットにMoonshotサーバを持ち込んだ事例がある。Moonshotサーバは空調が必要な装置だが、それでもニーズがあったということだ」(阿部氏)。

 Moonshotサーバには構造上の特徴がある。プロセッサなどを封入した手の平サイズのカートリッジを採用しており、カートリッジ交換によって、性能を強化できる。

 「中身のカートリッジは手のひらサイズなのだから、筐体をコンパクトにまとめ、耐熱性や耐衝撃性を追加できれば、エッジコンピューティング用のサーバに育てることができると考えた」(阿部氏)。

■FPGAによる強化も検討

 2016年10月に出荷を開始したHPE Edgelineは0~55℃で動作する。「工場の現場などでは、耐衝撃・振動性能や防じん性能も必要だろう。同時に発表したゲートウェイ製品では、衝撃・振動性能を持たせている。今後、HPE Edgelineの製品の幅を広げていく際には、ユーザーニーズに応じてこのような性能強化を考えている」(阿部氏)。

 「MooonshotサーバやHPE Edgelineのカートリッジ内部では、プロセッサとグラフィックスコントローラーやネットワークコントローラーをSoCとして統合している。Mooonshotサーバを企画する際にはFPGAを統合したコンセプトプランも明らかにしていた。このように、IoTのエッジコンピューティングで求められる処理性能を追加していく能力がある」(阿部氏)。

 HPE Edgelineは、処理性能が高いだけではなく、PXIeスロットも備えている。高性能な計測制御装置と捉えることもできる。

 同社は東京にHPE Edgelineの実機検証環境を設けた。ユーザーによる利用を募っており、2016年11月以降、国内でも事例を積み重ねていくとした。

 「FLOWSERVEの事例は国内のユーザーにも分かりやすく、同じようなことができないかという期待を生んでいる。日本企業が海外展開、アジア展開を考えた場合、HPE Edgelineの技術を持って行くことができる。海外でも調達・保守サポートを展開しているからだ。企業がIoTで競争力を高める助けを日本発で進めたい」(石井氏)。




Flowserve Control Valve Maintenance Training



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