脚が異様に長い巨大テディベア、製作者の言い分(ギズモード・ジャパン) [ニュース]

https://rdsig.yahoo.co.jp/rss/l/headlines/sci/giz/RV=1/RU=aHR0cHM6Ly9oZWFkbGluZXMueWFob28uY28uanAvaGw_YT0yMDE3MTEyNi0wMDAxMDAwNC1naXotc2Np

恐怖! でっかな脚長クマさん。

先日、Amazonに出品されている巨大なテディベアについてのとあるレビューがTwitterでシェアされ、注目を集めることに。Joyfayという企業による約2m(6.5フィート)のこのぬいぐるみ、子供のころにかわいがっていたテディベアをそのまんま巨大化したものかと思いきや異様に脚が長い、プロポーションの狂ったぬいぐるみだったのです。

【記事の全画像】脚が異様に長い巨大テディベア、製作者の言い分

ラヴクラフトの怪奇小説に出てきそうな異形をしたぬいぐるみについての投稿はすぐにBoing BoingやTeen Vogueといった媒体で取り上げられ、このクマを「まさに恐怖に他ならない」と言い表しました。以下、話題になったAmazonに寄せられたレビューです。

おぞましい! 脚の長さは約1.2m(4フィート)もあって、そのせいでクマが不気味でマヌケな物体に見える。バレンタインデーにもらったけど、もっと安くても均整の取れたクマの方が欲しかった…これはそもそもかわいくもない。

こんな悪夢のようなクリーチャーを作ったのはどんな人たちなんでしょうか? その正体はJoyfayを設立した、電気化学、光化学、物理学そしてレーザー分光学の科学者たち4人組だったのです。光化学の学生だったJunwei WangさんがAmazonで物を売るアイデアを思い付いた時、他の3人はみな、クリーブランドのケース・ウェスタン・リザーブ大学で博士号に取り組んでいました 。

「僕がXPS(X線光電子分光法)の実験をしていた時にJunweiが研究室に入ってきて、みんなでオンラインで物を売り始めれば、この博士号のプログラムを通じて得るよりも金儲けできるかもしれないと言ってきた」とJoyfayの共同設立者で電気化学者であるNikola Maticさんは米Gizmodoに語ってくれました。「彼は光化学的水素発生のためのサンプルに取り組んでいたけど、使っていたマシンは本当に時間がかかるものだから、僕らは2時間の暇を潰すことになり、Amazonのアカウントを作ったんだ」とのこと。

彼らが載せた商品のいくつかは即売しました。Maticさんいわく、そのうち「こういったテディベアを含むありとあらゆるもの」を販売し始めたとか。こうして彼らの企業、Joyfayが始まったのです。2014年ごろに全員が卒業すると、科学界での仕事を追うことはせず、事業に専念することにしました。

しかしMaticさんによれば、科学を完全に捨てたわけではないとか。「これら巨大なテディベアの陰には確かに科学が存在する」と彼は語っています。

そこに隠されているのは、2つの要素で、1つは物流、そしてもう1つは心理学とのこと。物流的にみると、ぬいぐるみの胴体が大きくなればUSPS(米国郵政公社)の送料はもっと高額になってしまいます。もしそれをFedEx groundで輸送した場合、貨物として輸送されることになり、Amazon Prime(訳者注:米Amazon Primeでは無料の2日間配送を提供しており、その特典を指していると思われます)の時間内に納めるのはあまりに難しすぎるのです。さらに時間内に間に合わないとなれば、販売で損をすることに…。そこで胴体ではなく、脚を伸ばすことにしたのでしょう。しかしさらに重要なのは、「人々が“本当に”欲しいと思う巨大なクマを提供することだ」とMaticさんは説明します。

「このことを分かりやすく言い直そう」、彼はそう言ってデータ駆動型の研究をジャーナリストでさえ理解できる素人向きの説明に言い換えようとしました。それは、なぜ私たちがテディベアは短い脚であるべきと考えるのかという点に端を発します。

深く掘り下げて考えてみるんだ、「誰もがテディベアを買うのはなぜなのか?」と。いくつかの答えがあり、それらはなかなか深いものだ。人々がテディベアを買う理由の1つにそれの腕、胴体そして脚の比率が赤ん坊のそれと同じだからというものがある。そして、子供にとってはそういった比率を好むのは本質的なこと。そして我々にとっては、“かわいい“と思うものだ。自明の理のようなもので、誰だって赤ん坊をかわいいと思うもの。そのため、普通のテディベアはこういったプロポーションを保っている。でも現実世界でもしそんなに大きな赤ん坊がいたら、動くことも首がすわることも無理だ。

では巨大なテディベアが赤ちゃんのプロポーションであるべきはでないというなら、どういうことなんでしょう? Joyfayが巨大なクマを売り始めた2011年は、売上のほとんどがバレンタインデー前後でした。同氏は「giant teddy bear」の検索が毎年2月上旬に跳ね上がるGoogle Trendをシェアしてくれました。

「ボーイフレンドがガールフレンドに大きなテディベアを買うということは、テディベアは一種の代替品のようなもの。イラクに配属され、妻やガールフレンドに巨大なテディベアを買った男たちは大勢いる」とMaticさんは語り、そのガールフレンド側の顧客基盤がより長い脚を好む傾向にあることを説明しました。

米GizmodoのJennings Brownさんが脚がとても長い理由を質問したメールのことを指しながら、「君は脚が長いと結論付けるんだろ」とMaticさん。「何と比較して長いんだ? 君の頭の中にある伝統的な小さなテディベアのあるべき姿と比較して長いのか? そんなんだから人々は自分たちが正しいと考える。とは言うものの、このぬいぐるみには別の機能もある」 とのこと。

その機能が何であれ、レビューを見る限りでは注文時に期待していたよりも脚が長かったことにがっかりした人たちが数多くいます。しかしMaticさんいわく、購入者が投稿した写真は不利なアングルで「実際にどう見えるかを不正確に伝えている」ものがあるとのこと。Joyfayの巨大なテディベアの宣伝画像はほとんどが脚を短く見せる真正面からのアングルですが、Matic氏がもっと普通に見えると称する側面からのアングルの画像を見せてくれましたよ。

これ、普通に見えます?



Image: Amazon, Joyfay
Source: Boing Boing, Twitter, Amazon, Teen Vogue, Joyfay, Google Trend

Jennings Brown - Gizmodo US[原文]
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